人気が高まっている配食サービス
「配食サービス」
配食サービスとは、高齢者を対象に栄養バランスのとれた食事を自宅に届けるサービスのことですが、栄養バランスのとれた食事で健康を維持することだけでなく、自立した生活の支援、さらには高齢者の安否確認も兼ねています。
配食サービスがのびている理由とは
配食市場の規模は、2009年度は569億円でしたが、2014年度は1050億円とわずか数年で大きく飛躍しており、今後もさらに拡大していくことが予想されています。配食市場が今後も伸びていくとされている背景には「高齢化がすすみ需要が高まること」や「国の方針」が大きく関係しています。
需要の増加
高齢化がすすんでいるといわれていますが、具体的な数字で見てみると2016年の65歳以上の高齢者は約3461万人と総人口のうちおよそ四人に一人が高齢者でした。今後も高齢者の増加は見込まれており、団塊の世代が65歳以上となる2025年には約3657万人にも上るといわれています。
近年は家族の形も多様化し核家族も珍しいことではなくなりましたが、世帯別に見てみると世帯主が65歳以上の一人暮らしや高齢の夫婦のみの世帯は全体のうち25.7%になるといわれています。高齢者が増加することで介護や医療、生活支援といった問題も浮上してきますが、「できるだけ住み慣れた街で自分らしく暮らせる」ように、これらの問題を包括的に確保される体制として地域包括ケアシステムの構築が急務とされています。ですが、在宅を基本とした健康的な生活をキープするためには食事の問題が重要なポイントとなってきます。先述したとおり、高齢者は一回の食事量も少なく食事の準備や買い物など体力的に厳しく、低栄養素を引き起こしてしまう人も少なくありません。家族と同居していても噛む力や飲みこむ力が弱ければ、普通の食事ではなく刻み食やムース食などの介護食が必要となるため負担にもなってしまいます。
このような悩みを抱えている人が増えていることでますます配食サービスも注目が集まり、利用拡大にもつながっているのです。
「ニッポン一億総活躍プラン」
平成28年に発表された国の方針、「ニッポン一億総活躍プラン」では介護離職ゼロに向けた取り組みもあり、その中には健康寿命の延伸も盛り込まれていました。健康寿命とは「健康上の問題がなく日常生活を送れる期間」のことです。2013年に発表されたデータによると男性は健康寿命が71.19歳で平均寿命は80.21歳、女性は健康寿命が74.21歳で平均寿命は86.61歳、それぞれの差は男性が9.02年、女性が12.4年でした。この差は日常生活に制限がある状態、つまり何らかの介護が必要な状態である可能性があり、介護が必要ない人も健康な生活がより長く続けられるように虚弱予防や対策が必要だということが読み取れます。