これからの課題
配食サービスの課題は「味」と「栄養」
一人暮らしや高齢の夫婦のみの世帯で配食サービスを利用している人の4割近くは、「配食サービスを利用して栄養状態が改善されている」と感じていますが、「あまり改善がすすんでいない」と感じている人も一定数います。
なぜそう思うのか、理由を探ってみると「メニューは豊富だが利用していくうちに飽きてしまう」「配食サービス自体に栄養改善の考えが浸透していない」「味がよくない」などを感じている人が多いことが分かりました。
食事を楽しむためには「味」が重要
ただでさえ食事量が落ちている高齢者が十分な栄養をとるためには、食事そのものに満足してもらう必要があります。つまり、「美味しくたくさん食べること」が高齢者にとって食事をするうえで重要なことなのです。ですが、配食サービスが美味しくないと感じている人が多い事実がある限り「美味しいかどうか」「食べたいと思えるかどうか」が配食サービスの大きな課題でクリアしなければ高齢者の栄養状態を改善することができません。
では、高齢者の食欲をそそり栄養素が高い食事とは一体なんなのでしょうか。
高齢者が美味しく食べられてなおかつ栄養素の高いもの、といえば「介護食品」が思い浮かぶと思います。介護食品といってもさまざまですが、特にレトルト食品は見た目や味が一般食に近く品ぞろえも豊富なので、好みやそのときの気分に合わせながら手軽に食べることができます。また食事以外にも飲み物やデザートもあるので使い勝手もいいです。配食サービスを「美味しくない」「物足りない」と感じている人には手軽に食べられる介護食品をすすめてみましょう。
高齢者を支えるには不十分な仕組み
安否確認や病気予防などのメリットがある配食サービスですが、すべての高齢者にはまだ対応しきれていません。たとえば、認知症で一人暮らしの人は食事が届けられてもそのまま食べることはできません。ホームヘルパーなど在宅介護を担う人が食卓で食べられる状態にし、高齢者を席まで誘導して食べるのを見守ることでようやく食べることができる状態になります。ですが、ホームヘルパーが毎日来ない場合や一日一回の場合、三食しっかりと食事をとるのが厳しくなってしまうでしょう。
また、チャイムの音に気づかず出ていかなかったら不在だと思われてしまい、配達員と顔を合わせることもないまま玄関に食事が置かれているだけ、ということもあります。ホームヘルパーなら家に中に入って安否確認ができますが、配食サービスの配達員は食事を届けながら対話で安否確認をするだけなので家の中まで入ることはできません。不在のときはケアマネジャーに連絡がいくようになっているとはいえ、ちょっとした時間のロスが大きく響いてしまう可能性もあります。
メリットが多く便利なサービスに思われがちな配食サービスですが、まだまだ課題が多いのが現状です。